ラケットのスペック表には、メーカーが違っても共通して載る項目と、メーカーごとに書き方が違う項目があります。この記事は、当サイトが22ブランド350本の公称スペックを同じ表に並べる作業のなかで整理した「読み方」です。数値の分布は当サイト収録分(スペックが公開されているモデル)から集計しています。
重さ:U表記
「3U」「4U」の U は重量区分です。数字が大きいほど軽い、と覚えてください。ヨネックスをはじめ多くのメーカーが次の刻みを使っています。
| 表記 | 目安(ストリング・グリップなし) |
|---|---|
| 2U | 90〜94g |
| 3U | 85〜89g |
| 4U | 80〜84g |
| 5U | 75〜79g |
| 6U | 70〜74g |
| 7U | 65〜69g |
この先の 8U・9U・10U は各社の独自区分で、たとえば APACS の 10U は 51〜61g(±5g)と表記されています。刻みが5gなのは共通ですが、境目はメーカーで微妙に違うことがあり、グラム表記しかないモデルもあります。当サイトでは、グラム表記のみのモデルは 92g=2U を基準に5g刻みで換算し、「3U/4U」のように複数区分があるモデルは平均値で扱っています。
同じモデルに 3U と 4U が用意されている場合、多くのメーカーは「3U は G4・G5、4U は G5・G6」のように重量とグリップの組み合わせを限定しています。買うときは重さとグリップの組み合わせが在庫にあるかを確認してください。
収録モデルの分布:重さが公開されている267本のうち、4U が112本(42%)、3U/4U 併売が64本(24%)、5U が30本(11%)、3U 単独が18本でした。5U 以下の軽量モデルは近年増えていますが、市場の中心は今も 4U です。
なお、U表記の重さはストリングとグリップテープを含みません。実際に手に持つ状態では、ストリング約5g、オーバーグリップ約5〜10gが加わります。
グリップサイズ:G表記
G4・G5・G6 はグリップの太さです。日本のメーカーの表記では数字が大きいほど細い(G4 が太く、G6 が細い)のが一般的です。日本の成人男性は G5 が標準とされ、G6 は細めを好む人や女性・ジュニア向けに多く選ばれます。
注意が必要なのは海外ブランドで、表記の基準が異なります。たとえば APACS のマレーシア表記「G2」は日本のサイズ感では「G5」に相当する、と販売元が明記しています。海外ブランドのラケットを買うときは、数字ではなく販売元の換算表を見てください。当サイトでは「グリップ表記」と「グリップ(日本サイズ換算)」を分けて載せています。
グリップは後からオーバーグリップやアンダーラップで太くはできますが、細くはできません。迷ったら細いほうを選ぶのが定石です。
バランス:ヘッドライト・イーブン・ヘッドヘビーと mm 表記
バランスは、グリップの端から重心(バランスポイント)までの距離です。長いほど重心がヘッド側にあり、振ったときにヘッドが重く感じます。全長は多くのモデルで 675mm 前後、重心は 280〜300mm あたりに集まります。
メーカーの書き方は3種類あります。
- 区分のみ:ヘッドライト/イーブン/ヘッドヘビー(YONEX、Wilson、DUNLOP、PRINCE など)
- 目盛り:「ヘッドヘビー □■□□□ ヘッドライト」のような5〜10段階の図(MIZUNO、VICTOR、GOSEN など)
- 実数:285±3mm、295mm など(BABOLAT、Flypower、APACS、MAXX、LI-NING の一部)
区分の境目はメーカーで異なります。当サイトは、実数がある場合は 288mm 未満をヘッドライト、288〜295mm をイーブン、296〜311mm をヘッドヘビー、312mm 以上をエクストラヘッドヘビーと分類し、区分しかない場合はメーカーの表記をそのまま使っています。同じ「ヘッドヘビー」でも 296mm と 305mm では体感がかなり違うので、実数がある場合はそちらを優先して見てください。
収録モデルの分布:バランスが公開されている179本では、ヘッドヘビーが96本(54%)、ヘッドライトが42本(23%)、イーブンが40本(22%)でした。mm の実数を公開しているのは72本で、280〜350mm の範囲にあります。
バランスは重さと組み合わせて読みます。「4U ヘッドヘビー」と「3U イーブン」は総重量では 3U のほうが重いのに、振った感触は 4U ヘッドヘビーのほうが重く感じることがよくあります。
シャフトの硬さ:メーカーごとに表記が違う
3項目のなかでいちばん表記がばらばらなのがシャフトの硬さです。当サイトで集めた実際の表記をいくつか挙げます。
| メーカー | 表記の例 |
|---|---|
| YONEX | Hi-Flex/Medium/Stiff/Extra Stiff |
| MIZUNO | SOFT/Medium/STIFF、5段階の目盛り、トルクレベル T12 など |
| VICTOR | 「S○○○●○F」のような目盛り(S=Stiff、F=Flexible) |
| GOSEN | FLEX-S/FLEX-R/FLEX-A/FLEX-L、mm 単位の Flex 値 |
| BABOLAT | 柔らかい/ミディアム/硬い |
| APACS・MAXX・Flypower | 7.5〜9.5 の数値(小さいほど硬い)+ STIFF/MEDIUM 等 |
| DUNLOP(SRIXON) | 「氷」硬い/「水」ミディアム/「霧」柔らかい |
| REDSON | 1〜7 の数値目盛り |
当サイトはこれらを「柔・やや柔・中・やや硬・硬」の5段階に丸めています。同じ「中」でも各社の中央値は違うので、メーカーをまたぐときは1段階のずれは誤差と考えてください。
一般に、硬いシャフトはしなりが少なく、スイングが速い人には打球の反応が速くコントロールしやすい反面、スイングが遅いと飛びません。柔らかいシャフトはしなりで球を飛ばすため力がなくても飛びますが、速いラリーで面が安定しにくいことがあります。初中級者や肩・肘に不安がある人は柔らかめ、上級者やパワーのある人は硬めが選ばれることが多いですが、絶対ではありません。
収録モデルの分布:硬さが公開されている170本では、「中」62本、「やや硬」39本、「柔」33本、「硬」29本、「やや柔」7本でした。
最大張力(テンション)
「最大張力 28lbs」のように書かれるのは、メーカーがフレームの保証範囲として認める張り上げの上限です。単位はポンド(lbs)が一般的で、1ポンド≒0.45kg。上限を超えて張ると、フレームが割れても保証対象外になるのが通常です。
当サイト収録モデルの最大張力は 22〜38 ポンドの範囲で、28〜29 ポンドが最も多く、上級者向けの高張力モデルは 32 ポンド以上、軽量モデルや入門モデルは 22〜25 ポンドに集まります。実際に張る張力は、初中級者で 18〜24 ポンド前後が多く、上限まで張る必要はありません。
同じモデルで 3U と 4U の最大張力が違う(例:3U 31 / 4U 30)ことがあります。軽いフレームほど上限は低くなる傾向です。
グロメット数・全長・シャフト径
グロメット数はストリングを通す穴の数で、72・76・80 が主流です。数が多いほど張力が分散し、ストリングパターンが細かくなります。全長は多くのモデルで 675mm。670mm や 680mm のモデルもあり、長いほど遠心力でヘッドが利きます。シャフト径は 6.0〜7.2mm 程度で、細いほどしなりやすく、空気抵抗も減ります。近年は 6.0〜6.4mm の細シャフトが増えています。
公称値と個体差
ここまで説明した数値はすべてメーカーの公称値です。同じ品番でも、重さは ±2〜5g、バランスは ±3〜5mm の製造上の個体差があり、メーカー自身が「85±3g」「295±3mm」と幅を書いていることが多いです。同じモデルを2本持つ人が「打感が違う」と感じるのは珍しくありません。こだわる場合は購入時に店頭で重さとバランスを測ってもらうか、当サイトの比較表で候補を並べたうえで、最終的には試打で決めてください。
この記事の数字の出典
分布の数字は、当サイトが2026年9月時点で収録した350本(うちスペック公開 284本)の公称値から集計したものです。出典(メーカー公式サイト・国内正規代理店サイト・販売店サイト)と取得日は各ラケットのページに明記しています。出典と更新履歴
